セッティング
カービングを練習している人から「スタンス教えて」と聞かれて 「バインディングのセンター間の距離」を答えると、「角度とかは?」と追加で聞かれることが良くある。
ちょっと踏み込んで見てみよう。
多くの人々が「スタンス」という言葉に持っているイメージには「セッティング」という表現が適しているのかも知れない。
「セッティング」には、最低でも「スタンス」、「アングル」、「カント・リフト」という基本要素が含まれる。
細かいことを言い始めると、フリースタイル、アルパインスタイルという選択肢によりマテリアルの要素も様々に分岐してしまうので、ココでは上述の基本要素だけについて触れておく。
それでは一つ一つを見ていこう。
スタンス
先にも少し触れたが、簡単に言うと「板の上に立つ時の脚の開き具合」を決める要素だ。
調節自体は、バインディングのセンターディスクの固定位置で行うが…
はてさて?
何を基準に決めれば良いのか、が問題だ。
安定感
前後(横滑りではなく直滑降の時)の動きに対して、スタンスが広いと安定しやすく、狭いと不安定になりがちだ。
しかし、広ければ良いという事もなく、以下の要素も大切だ。
関節の動き
股関節や膝の動きを妨げない、と言うことは非常に重要な要素だと考えて良い。
板のたわみ
長い板に乗る場合なら、あまり気にする必要はないかも知れないが、短い板に乗る場合は要注意。
スタンスが広いと、板が「たわもう」とする動きを押さえ込む事になってしまう。
コレはカービングに対して大きなマイナス要素になる。
アングル
板にバインディングを取り付けるときの角度だ。
板の進行方向(横滑りではなく直滑降の時)に対して、
つま先が真横を向くときのアングルが「0°(零度)」となる。
進行方向
どちら向きに滑りたいか、がアングルを決める基準になると思う。
フリースタイルで、スイッチしまくりながら滑りたいなら「両脚 0°」や、「+5°、-5°」等のダックスタイルなどが好まれのだろう。
アルパインスタイルで、スイッチ無関係、フルカービング命ならば、両脚共に「45°」以上、進行方向に向けたセットが好まれるだろう。
関節の動き
アングル設定の際にも、股関節や膝の動きを妨げない、と言うことは非常に重要な要素だと考えて良い。
視界
コレもアングルの設定に大きく影響を受ける。
先述の「進行方向」の項目で、どちら向きにも滑りやすくしだいなら「0°、0°」のように書いたが、視界については違う。
アングル設定が「0°」に近いほど、進行方向とつま先の向きが食い違う状態になる。人間の身体の構造上、つま先の向きが自然な目線の向きになる。
そのため、アングル設定が「0°」に近いほど、進行方向の視界を保つための「身体の捻れ」が必要になる。
「身体の捻れ」は、板に加重を伝える際にマイナス要素になる場合が多い。
そういうワケで、アルパインスタイルのライダーさん達は、つま先を進行方向に向けるようにアングルを設定し、進行方向の視認性を高め、尚且つ「身体の捻れ」によるエネルギー伝達ロスを減らしているのだろう。
カント・リフト
コレについては以前、記事にしている。
以下のリンクから参照してほしい。
まとめ
ココまでの内容を読んでもらって、是非とも気付いてほしい事がある。
「有名ライダーさんのお薦めセッティング」を参考にするのは良い事だが、あなたのライディングスタイルや道具、体重・骨格等々、全てが一致する事は、まず無い。
だから「憧れのあの人」と同じセッティングにしても、「憧れのあの人」と同じ滑りが出来る可能性は、残念ながら高く無い。
色々試して、悩んで、試行錯誤しながら「自分が重視する要素に適した」セッティングを見つける過程を楽しんでほしい。
強いて言うなら
「あなたの身体の自由度」に優先順位を置くことを大切にして、楽しんでほしい。
最後まで読んでくれた事に、感謝。